■ しばた@OHPの「クリスティ ハイテンション1 (MFコミックス)」レビュー
名探偵? 姪探偵? モエ探偵!? 「クリスティ・ハイテンション」
正直に告白すると、21世紀になって新谷かおる作品でこんなに萌えるとは思っていなかった。新谷かおるといえば、「エリア88」「ファントム無頼」などで知られる、押しも押されもせぬ大ベテラン作家。「ぶっとび!!CPU」のようなセクシー系の作品もあるものの、やはり軍事系、とくに戦闘機系の作品の印象が強いという人が多いはずだ。しかし今回紹介する「クリスティ・ハイテンション」は、それらとは打って変わった美少女探偵モノ。これがかなりいい感じで萌えるのだ。
本作の主人公は、あのシャーロック・ホームズの姪であるクリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープ。わずか10歳のお嬢様だが、頭脳のほうは伯父であるホームズ譲りの明晰さを誇り、子供とは思えないほどの該博な知識と卓越した推理力を持つ。そんなクリスティが、ホームズに負けじと鋭い推理を繰り出し、さまざまな事件を解決していくというのが大まかなストーリー。
そんなわけで内容のほうは探偵モノとして進んでいくのだが、このクリスティがすごくカワイイのだ。ウェーブが盛大にかかったブロンドのロングヘア、パッチリしたおめめ、知性を感じさせつつもイタズラっ気にあふれた表情などなど、いずれも実にキュート。
推理を繰り広げるときの表情はいかにも利発そうな雰囲気を醸し出しているが、推理でホームズおじさんに先回りされたときの悔しがり方など、子供ならではの無邪気な面も見せてくれたりして、とても微笑ましい。
あとクリスティはお嬢様だけあって、えっちな話にはちょっと弱い。えっちといっても現代のようなエロエロ話ってわけではない。今と違って、当時の社会はそんなに性的にオープンではなかったし、クリスティはお嬢様、しかもまだ子供ということもあって、その手の話は苦手なのだ。容疑者が不倫していたかも……といった話に差しかかっただけで顔を真っ赤にして口ごもってしまう。スバズバと大胆な推理を繰り広げる様子とは対照的なその恥ずかしがり方。このギャップがたまらないのだ。
本作は「萌える」と書いてきたけど、ラブコメ展開はないし、パンチラもなければ人前で裸を見せるなんてはしたないこともしない。しかしその品の良さ、つつましやかな部分が、かえっておてんばで可憐なクリスティの魅力を際立たせている。
本作で活躍するのはクリスティだけではない。ホームズはもちろんのこと、クリスティの下に仕える使用人たちもこれがなかなか。
口が悪くてがさつな新米メイドのノーラは、クリスティがピンチになると得意の武器であるムチを振るって大活躍。その一方、メイドとしてのしきたりを覚えようと一生懸命だったりもして、けっこう人はイイ。姐御肌の見ていて楽しいキャラだ。ノーラを一生懸命しつけようとする先輩メイドのアンヌマリーも、普段は厳しいけれど、いざとなると豹変する。その大立ち回りの様子は必見。また、ある事件をきっかけにクリスティと知り合い、彼女の家庭教師をすることになったグレースも印象的なキャラ。クリスティの良き理解者で、優しくて品の良いお母さん的な存在だ。
ついつい推理に夢中になって突っ走った行動をしてしまいがちなクリスティを、これらの大人の女性たちがしっかりサポート&フォロー。彼女たちもそれぞれチャーミングだし、その温かさがお話を気持ち良いものにしてくれている。作品を楽しく彩ってくれる貴重な存在だ。
あと、もちろん推理部分もちゃんと面白い。まあ推理の部分はあんまり細かく書くとネタバレになっちゃうので詳しくは書かないでおくけれども、「赤髪同盟」事件などおなじみの事件も出てくるので、本家ホームズファンでも楽しめる部分はけっこうあるはず。クリスティのキレの良い推理も痛快だ。そんなわけで姪探偵クリスティの名推理と、萌えゴコロをくすぐるキュートな魅力を、たっぷりと楽しんでいただきたい。
| 漫画「クリスティ・ハイテンション」1巻 | |
|---|---|
| 作者 | 新谷かおる |
| 発売元 | メディアファクトリー |
| 発売日 | 2007年6月23日 |
| 価格 | 580円 |
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