■ しばた@OHPの「すてんばいみ~! 1 (1) (ヤングキングコミックス)」レビュー
スカートめくりから始まる友情物語「すてんばいみ~!」
「スタンド・バイ・ミー」といえば、少年たちの友情を描いた青春映画があまりにも有名。そして今回紹介する「すてんばいみ~!」も、田舎の小学校に通う少年少女の友情を鮮やかに描き出した作品だ。これが初単行本という新鋭作家の作品なので、まだ知名度は高くないものの、かなり力の入った秀作となっている。「すてんばいみ~!」の舞台は日本のごく平凡な田舎町。そこで毎日元気に遊び回っているワンパク3人組の中心で、体力自慢の小学5年生、唐子菜勝人(通称:ショート)が本作の主人公。
夏休みのある日、いつものように遊んでいたショートは、はずみで見慣れない女の子のスカートをめくってしまう。その娘が何者なのか気になっていたショートだったが、「幽霊屋敷」という噂のある廃屋に潜入した際、彼女によってこっぴどい仕返しを受ける。
そして夏休みが終わって2学期の初日に彼女の正体が判明。彼女は東京からショートたちの住む田舎町に引っ越してきた、大塚さくらという名前の転校生だった……。
さくらは外見は田舎町のほかの女の子と違って垢抜けていて抜群にかわいく、勉強も運動もできて、たちまちクラスの人気者になるが、因縁のあるショートたちに対しては素顔を見せる。実際はかなり生意気でワガママ、底意地の悪いところのあるさくらは、スカートめくりなどで彼女に負い目のあるショートたちを「ドレイ」扱いし、尻に敷く。
しかしそんなツンツンした高圧的な態度で隠してはいるが、さくらは家庭環境などに複雑な事情を抱えており、時折寂しげな顔も覗かせる。そんなさくらの友たちになると誓ったショートは、不器用ながらも体当たりで彼女にぶつかっていき、その凍てついた心をしだいに変化させていくのだった。
といった具合で、本作はショートとさくらがメインの友情ストーリーとして展開していく。まあショートとしてはさくらに一目惚れした部分も大きいのだけれども、お話としてはラブコメよりは、友情物語という性格の方が色濃い。
さくらは生意気で、小憎らしい行動に走ることもあるが、バカだけど一生懸命なショートの行動がお話全体を清々しいものにしてくれている。ほろ苦い部分も多いが、まっすぐな友情ストーリーに仕上がっていて、読後感は良好だ。
さくらのツンデレぶりもなかなかのモノがある。ラブコメ色があんまり強くないため、「二人っきりになるとデレデレ」ってわけでもないんだけど、普段のショートへの態度がものすごく高飛車なだけに、彼女が弱さを見せたときの姿がよりグッとくる。
いずれさくらが成長し、中学生・高校生とかになったら、さぞかし素晴らしいツンやデレを発揮するであろう……などと想像すると、甘酸っぱいものがこみ上げてきたりもする。
本井広海+本澤友一郎は、商業誌ではこれが初連載(掲載は月刊ヤングキング)。そのためか、まだ商業誌的な洗練はされていない部分はあるものの、それがかえっていい味を出している。スクリーントーンを使わないで細部まで描き込む黒と白のコントラストの効いた作画には独特の質感がある。描線自体はシャープだが、手で描き込んだ絵ならではの温かみもあって、見ていてなかなかに気持ちがイイ。自然物などの背景描写も達者で、大ゴマのシーンなどではシーンとくるような情感にあふれたシーンを見せてくれる。
独特のタッチは好き嫌いが分れるところかもしれないが、光るものは随所に見受けられるし、物語的にもしっかり読ませるお話を作っている。生意気だけど陰のある美少女・さくらの心のうちにグッと分け入った内容となっているし、友だちのありがたさもしみじみ感じさせてくれる。友情といっても馴れ合うわけではなく、ベタベタしすぎることがない点もいい。
力のある、今後が非常に楽しみな作家さんたちなので、新鋭作家を後押しする意味でも、ぜひ単行本を購入して読んでみていただきたい。
| 漫画「すてんばいみ~!」1巻 | |
|---|---|
| 作者 | 本井広海+本澤友一郎 |
| 発売元 | 少年画報社 |
| 発売日 | 2007年4月26日 |
| 価格 | 550円 |
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