■ 桜ふみの「KONAMI ADDICTION~FOR ELECTRO LOVERS~」レビュー
てれれれってってってっててれれれ♪「KONAMI ADDICTION ~FOR ELECTRO LOVERS~」
今回紹介させていただくのはコナミxエレクトロニカ。新進気鋭のリミキサーの方々の手によって、ステキなデコレーションを施された、80年代コナミ名曲の数々が収録されたコンピレーションアルバム「KONAMIADDICTION~FOR ELECTRO LOVERS~」です。
いまのコナミといえばメタルギアソリッドを筆頭にウイニングイレブン、クイズマジックアカデミー、そしてbeatmania等をリリースされているメーカーですが、今回リミックスの対象となったのはもう遥か前、と言ってしまっても過言ではないくらいの時代に発売された、ノスタルジックな作品群の中からのセレクト。
クラブシーン的なサウンドを中心に展開している、BEMANIシリーズを擁しているコナミサウンドチームにあえて一切触れることなくチョイスされたリミキサーの方々が奏でるエレクトロ・ミュージックは、同じベクトルにありながらもBEMANIシリーズとはまったく違う、エッジの効いたサウンドとして届けられました。
それではいつものように、楽曲紹介とまいりましょう。
まず1曲目はかの名曲「B-DASH」で有名なトンガリキッズさんにあえて任天堂以外の曲を手がけさせた、という点においても貴重である「グラディウス(Tongarikids REMIX 鼻ディウス)」。
今回の曲はボーカルをニポポさんが担当。WORKSとしては「やわらか戦車」以来久しぶりのアルバム参加ということになるのでしょうか。延々とグラディウスのメインテーマを鼻歌で口ずさみつつ、小気味のよいラップがつながっていくという、とてもトンガリキッズさんらしいトラック。企画盤の1曲目としてのインパクトの責をきっちりと果たしつつ、とても入り込みやすいエレクトロワールドを展開されています。
2曲目はajapaiさんの手による「イーアルカンフー(ajapai Remix)」。テイ・トウワ、平井堅、小柳ゆきと名を上げたらキリのないくらい有名アーティストのプロデュースを手がける経歴を持つajapaiさんによる渾身のリミックス。
8bitサウンドの持つ感覚を崩すことなく自身のフィールドに持ち上げすばらしく爽やかに聴けるリミックスに仕上がっています。BGMの雰囲気だけでなく、ゲームそのものを表現するかのように積み上げられた音が絡み合い流れていく様、巧みに使われているボイスサンプルがコナミxエレクトロニカを如実に現しているトラックでした。
3曲目は中塚武さんの手による「がんばれゴエモン(ミニマル道中 Remix)」。中塚武さんといえば、菅野よう子プロデュースを外れた坂本真綾さんが出したシングルやアルバム等で楽曲を提供していらした方なので、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今作ではタイトルの通り、晴れ渡る青空を想像させるような打楽器で構築されたミニマルを聴かせてくれています。8bitというよりはむしろゴエモンの持つ日本的なイメージを大切にした、といった印象を受けるトラックですが、ゲームミュージック的にもかなりアリなトラックだと思います。
4曲目はSugiurumnさんの手による「スーパー魂斗羅(Sugiurumn Remix)」。こちらもリミキサーとしては大御所。浜崎あゆみ、CHEMISTRY、hitomi等の作品において数多くのHOUSE MIXを手がける杉浦英治さんによるリミックスです。
荒木飛呂彦さんがジャケットイラストを手がけたシングルをリリースされているので、もしかしたらそれだけお持ちの方もいらっしゃるのかも。短いパターンサウンドの繰り返しで進んでいくゲームの感覚が、打ち込みによるリズムからなるトランス感の中にちりばめられていてとても気持ちのよいトラックに仕上がっています。
5曲目はamos projectさんによる「月風魔伝(Remixed by amos project)」。DJ SOMAことJunichi Somaさんによるとても気持ちのよいベースを聴かせてくれるすばらしいリミックス。冒頭のリズムトラックの流れからフロアによく響くサウンドに終始するかと思いきや、途中にたゆたうように流れるキーボードの旋律はさすが!
月風魔伝と言われて想像する画面は、源平討魔伝だったりする方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)、これはコナミのコンピ盤ですので、月風魔伝なのです。
6曲目はi-depさんの手による「ツインビー(i-dep's game over Remix)」。ヴィレッジヴァンガードではおなじみのクラブジャズユニット「SOTTE BOSSE」のプロデューサー、ナカムラヒロシさんが手がける8bitではないけれどもゲーム画面的なものをちゃんと想起させるそうなちょうどよいバランス感覚を聴かせてくれるトラック。
メインのトラックはもちろん、締めの30秒に鳴らされる元音源と効果音を使ったリミックスは秀逸。こういうこともできるけど今回はあえて・・・なメッセージが見え隠れする絶妙な味わいです。
7曲目はCLAZZIQUAI PROJECTさんの手による「クォース(CLAZZIQUAI beat oops Remix)」。CLAZZIQUAI PROJECTさんはすこし前にリリースされたディズニーCLUBコンピ「Lovebeat Disney」にも参加されていた、韓国のクラブ系アーティスト。
“ソウル、エレクトロニカとファンキーなハウス、ジャズ、ボサノヴァなどをうまく融合した多彩なサウンド”と評される通り、多彩な音の中に以前紹介させていただいた「キラキラジブリ」に通じるキラキラ感が満載されたトラックに仕上がっています。
8曲目はMichimotoさんの手による「沙羅曼蛇(Michitomo Remix)」。このトラックはやばい、やばいです。スピードアップ! スピードアップ! のサンプリングボイスに乗って立ち上がってくる疾走感高いメロディライン、絡み合う楽器たちに奏でられる沙羅曼蛇の面スタートBGM。徐々にパワーアップしていき敵を撃破していくように展開するメインテーマの爽快感、そこに重ねられた体に響いてくるリズムトラックが心を震わせます。トラックの途中に入るキーボードとサンプリングボイスのみになる部分の演出がまたすばらしい・・・・。
9曲目はnote nativeさんの手による「魂斗羅(note native Remix)」。前出のi-depさんと同レーベルより様々なコンピ盤をリリースしている、田尻知之さんのソロ・プロジェクトnote nativeによるとても魂斗羅とは思えない(笑)男臭さのカケラもないキラキラした美しいメロディ、ピアノの旋律がただただ流れに身を任せたくなるようなすばらしいトラックでした。
そしてラスト、10曲目はTOSHIYUKI YASUDAさんの手による「悪魔城ドラキュラ(TOSHIYUKI YASUDA Remix)」。コナミを語る上で悪魔城シリーズを外すなんて考えられない話なのですが、そこはそれ、きっちりと期待通り、ラストトラックにもってきてくれました。
電子音楽をベースにラウンジ系、ボッサ系音楽を中心にワールドワイドに活躍を見せる、安田寿之さんの奏でる緩やかなキーボードで、悪魔城の世界観、おどろおどろしさを一切取り払ったヒーリングミュージックとしてアルバムを締めてくれています。
全曲を聴き終えて一番最初に感じたのは一粒一粒に込められたクオリティの高さと気持ちよさ。耳に残る心地よいキーボードによるメロディと、芯に響くリズムトラックの妙味。どれをとっても、どこをとってもすばらしいトラックの連続だったのに、なぜか残る疑問感。それは、このアルバムはゲームミュージックではない、という感覚でした。
昨今のゲームミュージックの土壌からして、耳に馴染まないサウンドではないはずなのに、音は確かに寄ったものを使っているはずなのに、なぜかゲームミュージックに聴こえない。そんな不思議な感覚に襲われたのです。たぶん回答は劇伴曲か、そうでないか、というところにありそうな感じがするのですが、どうでしょうか。
そうは感じながらも、サウンドクオリティ的にはどれも秀逸でとてもすばらしいものばかり。非常に満足のいく内容であることは保証できます。元のサウンドは好きだけどリミックスはちょっと・・・なんて思ってるあなたにも、ゲームミュージックはわからないけど参加リミキサーには興味がある、な、あなたにも聴いていただいて感動していただけたらと思います。
いま徐々に広がりつつあるオタク系クラブシーンではまさにこのアルバムの方向性に近い形でのリミックスサウンドを制作、発表されている方が多数いらっしゃいます。このアルバムを聴いてクラブシーンに興味を持ち、そういったところに目を向けてみる。というのもおもしろいかもしれませんよ?
| KONAMI ADDICTION~FOR ELECTRO LOVERS~ | |
|---|---|
| アーティスト | オムニバス |
| 発売日 | 2008年5月21日 |
| Amazon価格 | 2800円 |
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