■ 桜ふみの「キラキラジブリ」レビュー
イメージはミラーボールのキラメキ「キラキラジブリ」
今回紹介させていただくのは、みんな大好きスタジオジブリの名曲たちがクラブ・ダンスミュージックアレンジでキラキラに変身! というコンピレーションアルバム「キラキラジブリ」です。
以前よりクラブ系ミュージックを聴く機会も多く、今回このアルバムにラインアップされている参加アーティスト様のお名前が知る人ぞ知る! 的な有名コンポーザーさんばかりなこと、何よりデデマウスさんのお名前があったこともあり、発売がとても楽しみなアルバムでした。
そして昨年末、ヴィレッジヴァンガードにて先行販売されたこのアルバムを聴き、このステキなアルバムをどこかで紹介できる機会があったら・・・と思い続けておりましたが、今月ようやく一般販売が開始され、こうして皆様に紹介できるようになったというわけです。「クールなBEATの中に広がる、ファンタジー満載のキ・ラ・メ・ク☆世界!」と題されたどれもがキラキラなこのアルバム、1曲1曲丁寧に紹介していきたいと思います。
1曲目は櫻井響「スラッグ渓谷の朝」。
曲名からだとピンとこない方もいらっしゃるでしょうが、きっとメロディを聴いたとたん「ああ!」となること間違いなしの名曲。「天空の城ラピュタ」の前半シーンでパズーが飼っている鳥を籠から放ち、屋根の上でラッパを吹くシーン、といえばわかるでしょうか? あのシーンでパズーが吹いていたラッパがこの曲です。
その名曲をビートボクサー、櫻井響さんが持てるテクニックのすべてを注ぎ込んだといっても過言ではないテンションで演奏なさっているのがこのトラック。全然「キラキラ」じゃないこの曲が1曲目で、しかも説明されないと何がどうなのかまったくわからないこのトラックですが、「ヒューマンビートボックス」という単語で検索してみるとわかります。
ヒューマンビートボックスは、人間の口でレコードのスクラッチ音やベース音などをリズムに載せて音楽を作り上げるテクニックのこと。そしてその奏者のことをヒューマンビートボクサーと呼びます。それを知ったうえでこのトラックを改めて聴いてみると、そのすごさがきっとわかります。すごいです。
2曲目はHappy Synthesizer「となりのトトロ」。
これはわかりやすい! 的な8BITミュージックの「となりのトトロ」。これからが本当の「キラキラ」な感じです。ただ8BITな音が鳴っていればそれだけでそれっぽいという曲も多くある昨今ですが、このトラックでの使われ方はインパクト的にもアクセント的にも申し分なし。と思っていたらそれもそのはず、Happy SynthesizerとはSexy-Synthesizerがこのアルバムに参加するために使ったお名前でした。すばらしいはずです。「すてきなしあわせがー」の後の音が耳に残って離れません(笑)
3曲目はHALFBY「さんぽ」。
これも「となりのトトロ」の名曲ですが、2曲目とはまたガラリと違うHALFBYらしいDJアレンジ。曲の頭で「HALFBY!」と叫んでしまっているあたりがテンション高くて好きです(笑)。曲の方も、聴きやすい、わかりやすい、素直なアレンジ。それでいて遊びの要素が満載で、とても聴きごたえのあるトラックでした。
4曲目はBOOT BEAT「ルージュの伝言」。
「魔女の宅急便」で使われている名曲ですが、これを大胆にラテンの雰囲気たっぷりにブラスアレンジ。小西康陽さんがベタ褒めなさっている神谷直明さんの手によるハッピーでスウィンギーなリミックスはさすが。突っ込みどころのまったくないすばらしいトラックに仕上がっています。
5曲目はDJのはら「風の谷のナウシカ」。
豪快かつ大胆なエディットに定評のあるやけのはらさんの「DJのはら」名義でのリミックストラックになるのですが、これがまたすばらしい。「キラキラ」をキーワードに「キラキラ」したトラックに仕上げつつも、電子音ばかりに拘らずいろいろなところからいろいろな要素をちょっとずつ持ち込んで一度ごった煮にしたような音の集まりが、名曲のメロディパターンの芯を中心にしっかりとまとまっていて、それでいて斬新、という言葉が似合うような、そんなトラックになっています。
6曲目はonepeace「海が見える街」。
イントロのピアノがたまらなくステキです。随所に使われている電子の世界とは正反対のクラシックな楽器たちが奏でる包括的なアコースティック感が、また違った意味で「キラキラ」していてとても心地のよいトラックです。曲の最後がブツ切りなのがちょっとしっくりこない感じですが、1曲リピートで聴いていたらなんとなくつながっているように・・・なる・・・かな? アーティストのonepeaseはジャケットに掲載されているサイトを拝見させていただくと、個人のアーティスト名ではなく会社名のようですね。
7曲目はLARK CHILLOUT feat. 45「天空の城ラピュタ」。
サンプラーを巧みに駆使した打ち込みトラックをベースにとてもきれいなキーボードの旋律がすばらしい1曲。元の曲のすばらしさもさることながら、よくぞここまで! といってもまったく過言ではないすばらしいアレンジに仕上がっています。何の説明もされずにこの曲を聴かされて「ラピュタだね」と言えるのはちょっとむずかしいかな、くらいに全然違うもののような感じがするのですが、噛めば噛むほどきちんとラピュタで、繰り返し繰り返し聴くことによってどんどん味が出てくる曲です。
永井克俊と新井俊也による、ダンスミュージック・ユニットであるMr.comicstoreによる壮大なピアノアレンジ。アッパーでジャジーなアレンジから生まれる独特のカッコ良さがたまらないトラック。このCDの販売元であるHappinetのHPに掲載されている本人コメントの通り、「目を閉じれば浮かんでくる、自然の美しさや有り難さ。儚さ。その中で歩んで来た人類の軌跡。そして、潜在意識の中にある癒し」な音です。とても癒されます。
9曲目はSPECIAL OTHERS「君をのせて」。
ギター、ベース、ドラム、キーボードのオーソドックスな編成のジャムロックバンド、SPECIAL OTHERSによる演奏。アレンジというより、ただただ曲に対して丁寧に向き合った結果の演奏、といった感じのトラックです。かといって決してそのまんまではなく、SPECIAL OTHERSの持つ味が随所に出ていて聴いていてとても気持ちのよい曲でした。
10曲目はworld's end girlfriend featuring 湯川潮音「君をのせて~ナウシカ・レクイエム」。
世界レベルで活躍されているWEGによる、本人いわく「たかが10分程度の音楽」。コミック版ナウシカの壮絶な世界を描きたかったとおっしゃるこのトラックの芯にある湯川潮音さんの素直で伸びやかなソプラノの清浄さの上に重なってくる様々な、まるで闘いのような電子ノイズ、汚濁。壮大すぎるこのトラックは時間の長短に関係なく、とにかくすばらしい1曲。何よりレクイエムのつなぎがすばらしすぎます。こんな曲を聴ける機会に巡り合えただけで感謝です。
そして最後、11曲目はデデマウスと本名陽子「カントリーロード」。
「話が来た時、開口一番に『カントリーロード』しかやらない!」とか「本名陽子に歌わせてくれなきゃイヤだ! とか無茶苦茶言って困らせていたら実現してしまい自分が困ってしまいました」との本人談。
12年ぶりにこの曲のレコーディングをなされた本名陽子さんも「初めて、歌いながら涙がでました」とおっしゃられており、それだけでもこのトラックのすばらしさが伝わります。しかしそれはそれ。大好きなDEDEMOUSEさんのトラックが聴きたくて購入したCDです。隅の隅までしっかり聴かせていただきました。カントリーロードのメロディはまったくそのまま、そのうえでDEDEさんの得意なスロートラック、キラキラキーボードをしっかり聴かせてくれていてファンにはたまらない仕上がりとなっています。ものすごく大きく安心しました。
参加アーティストそれぞれがそれぞれの持ち味の通りに好きに自己主張しつつ、それがジブリというベクトルでまとまっているとても不思議なアルバムでした。クラブ・ダンスミュージックなアルバムのはずなのですが、中には「これは踊れないだろう(笑)」というトラックがあったり、すごくピコピコ輝いていたり。
このアルバムがジブリのコーナーに他のアルバムといっしょに並んでいて、子どもに聴かせようと思って買ってみたら子どもよりもむしろ自分がどっぷりハマってしまうんじゃないか心配になる、そんなアルバムでした。このアルバムを聴いて育った子どもって、なんだかすごくよいですよね。
今回はそんな11曲が収録されたコンピレーションアルバム「キラキラジブリ」を紹介させていただきました。このアルバムについてはもちろん、このアルバムを聴いてそれぞれのアーティストが気になったという方はぜひ、他のアルバムも聴いてほしいと思います。きっとこのアルバム以上に「キラキラ」な未知の世界が待っていると思いますよ。
| キラキラジブリ | |
|---|---|
| アーティスト | オムニバス |
| 発売日 | 2008年2月20日 |
| Amazon価格 | 2100円 |
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